未来日記

未来日記

いつも鬱々としていた丸の内OLの日誌。人生をポジティブに変えていくのは、自分の行動次第。

コーヒー豆が教えてくれた人生で最も大切なこと

「若い人は、社会の希望なのよ」と母が言った。

「おっぱいには、希望と夢が詰まっているんだよ」と兄が言った。

「コーヒー豆には、希望と夢と人類の叡智が詰まっているんだ」と課長が言った。

 

  • 若さ=希望
  • おっぱい=希望+夢
  • コーヒー豆=希望+夢+人類の英知

∴ 若さ < おっぱい < コーヒー豆

 

3年前のある午後盛り、部内会議で課長が事業計画を発表する中、わたしは配布資料のはじっこに、兄、母、そして課長の言葉から導き出された黄金の数式を書き記した。

 

日に日に若さを失い、且つ貧乳なわたしはこれからコーヒー豆にすがることでしか、希望と夢を見出すことが出来ないのか。嗚呼、なんと世知辛い世の中なのだろうと、当時のわたしは絶望した。

 

しかし、更に絶望したのは会議後、黄金の数式が記された配布資料がそのまま回収されてしまったと気付いた時である。後日部長に宴会の席で、死ぬほどイジられたのは言うまでもない。

 

新卒で就職したあと、わたしは東南アジア、南米、アフリカと世界各国でコーヒー豆を輸入し、日本国内の焙煎業者に販売するというビジネスに携わった。コーヒー豆は別名Coffee Green Beansと呼ばれるように、元来緑色をした豆であり、新鮮さを失うにつれ黄ばんでいき、味が薄くなる特徴がある。よって、豆が古くなって価値が落ちる前に売りきることが非常に重要であった。

 

そして、不幸にも売れ残ってしまった古いコーヒー豆を販売することが、新人のわたしに与えられた仕事であった。黄色の古い豆は一目で判別がつくため、お客さんに出すとあからさまに顔をしかめられる。それでもなんとか買って頂こうと値引きをすると、今度は上司に顔をしかめられる。売れば売るほど、誰かに嫌な顔をされる、こんな世知辛い仕事もなかなかないと、わたしは長い間仕事に夢も希望の人生の叡智も見いだせなかった。

 

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そんなある日、あるインドの取引先から自国産コーヒー豆を買ってほしいと頼まれた。サンプルの豆を見ると、今まで見たことない程黄ばんでおり、味もびっくりするほど薄い。お客さんに売るどころか、提案することすらはばかれるクオリティだ。

 

しかし、そこはさすが世界の商人、インド人である。

サンプル豆と共に1枚の宣伝用のチラシを渡され、そこにはこんな説明書きが添えてあった。

 

「幻の黄金のコーヒー。マハラジャが愛したスッキリ爽やかな味。」

 

 なんという開き直りだろうか。

近年髪の毛が後退している父が、イタリア人は髪が薄いことがセクシーの条件なのだと豪語していたのと同レベルの図々しい発想に、わたしは禿げしく、いや、激しく動揺した。

 

確かに、ここまで黄ばんだまま放置された豆は逆に珍しく、幻の黄金のコーヒーだというのはうなずける。

また、コーヒー元来の味がほとんど抜けてしまっているので、スッキリ爽やかな味だというのも、ある意味その通りだ。

 

ひょっとしたら、これはいけるかもしれない。

 

そう思い、大反対する課長を説得して、このインドコーヒーを客先に持って行ったところ、最初は皆ぎょっとした顔を見せながらも、意外にも面白がってくれ、結果当初想定していた倍の量を売り切ることが出来たのである。

 

「ねぇ、お兄ちゃん!!いつもは価値がないとされているものでも、光の当て方を変えると評価って全然変わってくるんだね!」

 

コーヒーの売り契約が成立した日の夜、わたしは興奮冷めやらぬまま兄に事のいきさつを報告した。

 

冷静なまなざしでわたしを一瞥したあと、兄はこう言った。

 

「モノの価値は、供給と需要、そして見せ方によって決まるんだよ」。

 

兄の言葉を聞いて、わたしは20年前のとある出来事を思い出した。

 

小学生の頃、父と母の目を盗み、TSUTAYAのレンタルビデオの一番奥のカーテンがかかっているコーナーに兄と2人でこっそり足を忍ばせたことがある。そのビデオのパッケージには、若く綺麗な女性が身体を露わにし、妖艶な衣装で様々なポーズを取っていた。そして、わたしが最も驚いたことは、その中で最も場所がいい、目立つ棚に陳列されていたのは、一番綺麗な女性の商品でも、一番セクシーなポーズを取っている女性の商品でもなかったことであった。

 

一番異彩を放ち、目を引いたもの、それは明らかに他の女性より20,30歳は年が上であろう着物姿で佇む女性が写っていたビデオだったのだ。しかも1つや2つではなく、一列分くらいの量はあり、パッケージには「熟女」という二文字が共通して印字されていた。

 

「ねぇ、お兄ちゃん!なんで、お母さんくらいの年代のビデオが人気なの?」

 

興奮冷めやらぬまま、わたしは兄に尋ねた。

 

冷静なまなざしでわたしを一瞥したあと、兄はこう言った。

 

「モノの価値は、供給と需要、そして見せ方によって決まるんだよ」

 

嗚呼、20年前に兄が悟っていたことを、わたしはつい最近まで気付くことが出来なかったのか…。わたしは絶望し、猛省した。

 

そして翌朝、古いコーヒー豆を活用した、熟女コーヒーならぬ、熟成コーヒーを売り出すことを思いついた。

早速2,3年在庫していた古いコーヒー豆の値下げを辞め、ヴィンテージ品としてブランド化し、客先に提案した。

 

様々な紆余曲折があり、結論から言えば、その提案は直ぐに採用されることはなかった。

しかし、営業先のメーカー担当者はわたしの提案を覚えてくれており、数年経った後に、この企画は実現されることになった。今、スーパーの棚には当時のわたしが提案した商品が並んでいる。

 

中国にはこんな格言がある。

 

「ゴミとは、置き場所を間違えた資源である」

 

嗜好品であるコーヒー豆の販売に携わった2年半は、与えられた商品をどこに、そしてどうやって置けば一番資産として高い値が付くのか?という問いを、常に考え続けた時間だった。

 

昨日の夜、わたしは「振り返ると辛いこともたくさんあったけど、楽しかったなぁ・・・」と久しぶりに当時の日々を思い出して、しんみりとしながら帰路に着いた。

 

郵便ポストを開けると、大学時代の親友からの結婚式の招待状が届いていた。

 

今まで、数えきれない程たくさんのコーヒー豆を売ってきたにも関わらず、たったひとつの自分という商品を未だに売却できていない事実に気づき、わたしは絶望した。

 

「ねぇ、お兄ちゃん。どうやったら結婚できるかな?絶世の美女ではないけど、オシャレもしているし、もっと評価されてもいいと思うのに・・・><」

 

冷静なまなざしでわたしを一瞥したあと、兄はこう言った。

 

「女の子の価値は供給と需要によって決まるんだよ。見せ方は関係ない。」

 

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【全メンヘラ女子に捧ぐ】史上最強の自己啓発は、引き寄せの法則でも、7つの習慣でもなく……財務諸表である。

尊敬する先輩の異動が決まった。

人事異動が日常茶飯事な我が会社で、数えきれないほどのさよならを経験した。

 

でも、こんなに悲しい気持ちになったのは初めてだった。

 

涙をこらえて部内会議をやり過ごしても、業後まではこらえきれず、セブンイレブンでマスクを購入し、帰りの電車内でワンワンと泣いた。

 

入社以来、一番親身に指導して、応援して、励ましてくれた先輩だった。

 

そういえば半年前位に、「黄さんの一番の長所は、その図太さだな」と言われたことがある。

 

泣き明かした赤い目を擦り、顔を上げると、真っ裸な枝の先々にうずめく桜の芽を見つけた。働き始めてから6回目の春の訪れに気付く。どんなスキルよりも、知識よりも、その図太さこそが、5年間掛けてわたしが手に入れた一番の財産だということを思い出した。そして、それまでは毎日こんな風に泣きじゃくっていた、という昔の記憶も。

 

社会人になる前のわたしは、絹豆腐状に心がもろく、毎日些細なことで傷つき、落ち込み、心を乱していた。

 

親からの叱責、友人への嫉妬、自分の不出来による苦悩、漠然とした将来への不安。心をかき乱す材料をひとつひとつ丁寧に拾っては、会社のデスクで、女子トイレで、帰路で、家の布団でと、場所を選ばずに毎日泣きじゃなくっていた。

 

つい近年まで、わたしは、本当にどうしようもない程にこじれたメンヘラ of メンヘラだったのである。

 

そんなわたしが徐々に心を強くしてくれたのは、ズバリ…、

 

財務諸表である。

 

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特に、財務三表は人生のホロスコープであり、羅針盤である。

 

20数年間、メンヘラ街道まっしぐらなわたしを救い出したのは、神でも仏でも幸福の科学でもなく、P/L、B/S、Cash Flowであった。

 

財務諸表を読み解ければ、日常の悩みの8割は紐解ける。

 

幼少時代、家族で中国から日本に移住したばかりということもあり、家族3人世帯収入200万円で10年間ほど暮らしていた。その名残のせいか、大人になって経済状況が改善されたはずなのに、どんなに働いても、貯金をしても、「これで本当に大丈夫なのか…」と漠然的な不安は消えることはなかった。

 

そんなある日、フリーキャッシュフローと運転資金の概念が、わたしを開眼させた。

 

企業にとって、売り上げの大きさや余剰金の有無に関わらず、フリーキャッシュフローが黒字である限り、取りあえずの存続は確保できるように、稼ぐ金額の多さや貯金額の有無に関わらず、毎月の支払いが滞っていなければ個人の生存が脅かされることはないのだと知った。そこで、わたしは早速自分個人の運転資金に当たる毎月かかる費用を計算した。光熱費、家賃、食費…と、自分が快適とする生活を維持するために必要な絶対額を確りとした数字で認識すると、今まで何年もわたしを悩ませていた漠然とした不安も、貯金への強迫観念も自然と消えていった。

 

今では、上司に「君のバリューはなんだね」と嫌味を言われても、「若さというのれんが大半ですが何か…!」と心で毒づき、どんなお偉いさんを前にしても、「減価償却分を差し引いた残存価値で比べると、わたしも負けていないはず!」と図々しく構える術を覚えた。

 

また、意中の異性に振られても、「こんなこともあろうと、積み立てた引当を取り崩すだけだもん、経営の根本は揺るがない…!(震)」と、心のB/Sをまさぐるようになり、わたしの図太さはどんどん助長され、涙は枯れた。

 

そして何よりも、今までわたしはどんな自己啓発本を読んでも、アナ雪ブームに乗ってLet it goを熱唱しても、「自分は自分のままでいいんだよ」とは心の底からは思えず、他人と比べては卑屈になって落ち込むといった、不毛なループを繰り返していた。

 

しかし、投資家が企業価値を判断する際に、営業利益やEBITDAの絶対額ではなく、ROAといった効率指標やIRRといった収益性指標の方が重視されると知った時、またまた開眼させられた。

 

例え、自分のB/Sが小さくても、保有資産の中身が思い描いていたポートフォリオとは異なっていても、そこから戦略を立てて、自分らしい最高の価値を生み出していけばよいのだと他人と比べなくてもいいのだと、心の底から納得することが出来たのだ。

 

自然万物に神は宿るというように、ひょんなところに幸せのヒントが落ちているものだから、神様も侮れない。

 

さて、涙をふいて、今夜も聖典(簿記2級の教科書)を開くとしよう。

 

 

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【お隣の社会は、未来を覗く窓】

小さい頃、「未来のことは神様しか知らないんだよ。」とお爺ちゃんに教えられた。

だから、何が起こってもいいように、しっかりと勉強して立派な大人になりなさいと。

 

でも、大人になってから、個々人に降りかかるミクロ的な未来は分からなくとも、社会の様子、特に違う地域、違う国の様子を知ることで、自分の生きる社会の未来はある程度予測できることのではないかと、感じることが増えた。

 

例えば、今、日本でブームとなっている民泊。

今日本では、まだホテル業界やマンションの管理組合等からの反対しかないため、異論を唱える声は弱く、一般的な関心もまだまだ低い。

 

対して、数年間先行して、民泊が浸透しているパリ、ニューヨーク、バルセロナといった世界的な観光都市を見渡すと、軒並みAirbnb社の台頭による不動産の価格高騰が断トツの問題となり、一般市民からの反対が同社の何よりもの大きな課題となっている。

 

そこで、Airbnb社は"One Host One Home"といったキャンペーンを打ち、複数物件を運営しているアカウントを強制的に締め出したり、稼働日数を自動カウントし、法定宿泊日数を超えた物件を強制凍結させている。

 

新たに民泊をスタートさせている知人が増えてきたが、一番心配すべきリスクは現行の規制や稼働率ではなく、もうすぐ、しかし確実に訪れるであろう業界情勢であろう。

 

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最近、働き方改革であったり、副業/複業を企業に認めるような世論が強まってきた。それらが実現した未来はどうなるのか。

 

下記現代のアメリカの中間層を紹介する番組で、垣間見た気がした。

日本では、「複業で仕事を2つ掛け持ちしている!」と聞けば、その存在はまだ珍しいため、格好いい、やり手だといったイメージが先行する。しかし、このビデオによると、複業/能力主義が当たり前に浸透しているアメリカでは、2つ、3つ仕事を掛け持ちすることは本職で十分な稼ぎを得られないことに他ならない。

 

巷では社員の副業を応援するサイボウズの取り組みが先進的で素晴らしいと讃えられるに対し、アメリカでは副業を行う従業員比率が高い企業は「従業員を十分に食わせられていない会社である」と世間的に見なされ、イメージダウンに繋がる。このビデオでは、公務員である消防士ですらも本職で一家4人家族を支える程の収入にならないため、3つ仕事を掛け持ちしている男性が紹介されている。

 

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誤解を恐れえずに言えば、長時間労働を容認し、専業しか認めないということは「うちの会社に忠誠心を持って働いてくれたら、あなた(及び配偶者、子供)の生活は保証しますよ」といった、ある種企業側の漢気のようなものだと、私は考えている。従ってその文化を完全撤廃し、合理的な働き方を促して従業員に他の収入軸を持つことを赦すことは即ち、会社が従業員及びその家族を養うという義務を手放すことにも繋がるのだ。

 

もちろん、ダラダラした意味のない長時間労働や会社が従業員を縛ることを肯定しているわけではない。

 

しかし、職の流動性が高まり、合理化を高めた先には、ホワイトカラー優勢の社会がさらに強化なものとなり、仕事の仕組みを設計する人(経営者や資本家等)と、仕組みに従う人(従業員、雇われる立場の人)の貧富差が信じられない程広がった未来が待っている。

 

「この事業のどの部分でチャリンできるのか?」

 

上司によく問われる言葉である。

昔は、業界やライバル企業の変異を追っていけば、未来を予測し、チャリンできる(=マネタイズする)ポイントの変化を負うことができた。しかし、目まぐるしく変化していく社会では、未来を予測するだけではなく、実際に未来を覗いた上で、組織の、そして自身の身の振り方を細かく設計していくべきなのかもしれない。

 

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あなたの、光になる。

素敵な先輩が異動してきた。

如何にも商社マン街道まっしぐらに歩んできました、と言わんばかりの会社人生40年戦士の先輩は、歓迎会で腹を抱えるほどのユーモアを混ぜこんだスピーチを披露してくれ、わたしをおおいに笑わせ、感動させた。

 

そして、歳にして30以上違う中、とても柔らかい物腰で、言葉の端々から知性とリスペクトを感じとれた。 

 

歓迎会終了後、寒々とした神田の街並みをひとりで歩きながら、明日から先輩と一緒に机を並べるのが本当に楽しみだ、と胸が熱くなった。

 

帰りの満員電車の銀座線に一歩足を踏み入れたとき、切りつけるような寒風にさらされたときも、いつもより憂鬱さが5%くらい減っているような、そんな気がした。

 

昨日より今日、先輩から何か吸収できるかもしれないと考えたら、なんだか明日の朝はいつもより5分早く起きられる気がした。

 

そう考えると、

誰かの日常で一輪の花を添えてあげるような、

少しばかりの幸せとユーモアを届けられるような存在になることは、

「明日を生きるのが楽しみだ」とその人が思えるキッカケを与えることであり、

その人の人生に光を灯すことと同義なんだ。

 

たとえそれがちっぽけな影響力しか持たない、ろうそく並みの光であったとしても、

確実にその人の人生に照らす希望となっている。

 

ユーモアは正義であって、リスペクトは金なんだ。

 

はじまったばかりの28歳。

 

これから、いくつの光を集められるのだろう。

いくつの光を届けられるのだろう。

 

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28歳になりました。 Happy ever afterのその先へ。

年が明けて、気持ちはForever 21ですが、あれよこれよと誕生日を迎えました。
 
去年は20代の中で一番印象的だった1年であり、27→28に変わる今年は、19→20へ変わる瞬間と同じくらい、胸の中で感慨深いモノがありました。
  
20歳の誕生日の前日、大きな節目を前に、自分に何か思い出に残るプレゼントをと思い、中野~西立川(実家)まで、日付が超えるタイミングにゴールできることを見計らって、走ることにしました。
 
「20歳になるんだから、今までの弱い自分、起こしてしまった失敗を許してあげよう」と、ぐっちゃぐちゃな10代の黒歴史を1つ1つ思い起こしながら、中央線の高架に沿って30km弱道のりを走り切った青臭い思い出。
  
あれから8年。
 
思えば、今までのわたしの人生は、中央線の駅をひとつひとつ超えていったあの夜のように、スタンプラリー状に歩んできました。
 
貧しい文化大革命時代を生き延びえた両親の教えに沿って、良い大学に入り、大きな会社に入って。
 
「これを手に入れたら、一歩幸せに近づけるはず!」
 
そう信じて、得になりそうな、世間的に良しとされるような、見栄えが良いような、人から褒められるような、そんな人生のスタンプをひとつひとつ、不器用ながらも掻き集めてきた日々でした。
 
あとは、素敵な旦那さんと結婚して、子どもでも産んだら、もう人生上がりなんじゃないか、と。去年の今頃、27歳の頭まではそんなことをぼんやりと思い描いていました。
 
しかし、社会人も5年を超えてくると、
 
今まで一緒に無邪気にはしゃぎ、無為に時間を過ごしていた友人たちが、名誉、世間体、金銭と一線を課した「自分のやりたいこと、人生で追及したいこと」に向かって、ひとり、またひとりと旅立ちはじめました。
 
頑張ってねと、見送った彼らの背中は、
 
「みくは、どのように生きていきたいの?」
「みくの人生にとって、大事なことはなに?」
 
そのような問いを、わたしの心に強烈に植え付けていきました。
目を逸らせないほどに。
 
 
そして、27歳のある時、わたしは気づいたのです。
 
 
例えこの先、素敵な旦那さんと結婚できたとしても。
子どもを産んだとしても。
 
わたしの目の前には、まだ4,50年という雄大な人生が待っている。
 
その時間を、わたしはどうやってきていくのだろうか。
何をよりどころにして生きていくのだろうか。
 
都会のおしゃれなレストラン。
旅先で集めた色とりどりのマグネット。憧れていたブランドのバック。
一等地での一人暮らし、寝心地のよい広いベット。
自由な時間。
 
考えうる限りのキラキラしたスタンプの先に、桃源郷のような幸せが広がっているような気がして、今まで精一杯走り続けてきたけれども。
 
わたしが抱える虚しさは、やるせなさは、きっとスタンプラリーの延長で解消できる賜物ではない。
 
何を獲得したかではなく、何を生み出したか。
いかに早く走れるかではなく、いかに自分の道を切り拓いてきたか。
金銭的な豊かさではなく、精神的な充足感。
 
これらのことに、きっと幸せの種は落ちている。
そんな風に気付いた、27歳の終わりでした。
 
 
今まで、幸せのよりどころや人生の正解を自分の外に求めていたけれども。
 
28歳はより、自分はどうやって生きていきたいか、
正解なき道を、じぶんの頭で、感性に素直になって、紡いでいきたいと思います。
 
2017年もどうぞよろしくお願いします!
 

2016年の振り返り

2016年の幕が閉じた。

昨年は20代の8年目で、あらゆるジャンルにおいて、一番勇気を出した年であり、一番挑戦した年でもあった。

 

120%の行動に対して、結果は70%というところで、最後まで思い通りにいかずに積み残した課題もたくさんある。2016年は今の自分の実力と勇気をすべて出し切ったのだから、それ以上の結果を出すこと、投資に見合う成果を求めることが2017年のテーマである。

そのため、2017はより知恵と戦略性に磨きをかけ、投資を惜しまない年にしたい。

2016年のTopicsを整理する。

 

1.家業のV字回復と完全引退

去年年初に売り上げが右肩下がりであることに大きな危機感を感じ、抜本的な見直しとテコ入れを行った。お正月の事業計画の立て直しからはじまり、丸々3か月に渡る大改装を経て、業績がV字回復した様子を見たときは、何とも言えない爽快な気持ちになった。

 

ビジネスにおける急速な業績悪化や、日常における予測不能な大きなトラブルはほとんどない。どれも、小さな予兆が少しずつあり、それに当事者である自分が見て見ぬふりをしたり、まだ大丈夫だろうと高を括っている内に、問題が肥大化するのである。

 

だから苦しくても、辛くても、目を背けずに早い内に問題の芽をつんだほうがよい。

 

逆に、自分にとって制御不可能な問題に関しては、良いアイディアが浮かんだり、解決の目途が立つまで敢えて先送りした方が良い時もある。また、直ぐに完全解決に持っていけないときは、やるだけやって、敢えていったん忘れる、といったテクニックも必要だ。でなければ、精神的なワーキングメモリーを消耗して疲弊するだけだ。自分でリスクを取って事業をすると、色々な知恵が身につく。これが一番の収穫だった。

 

2.プライベート

夢の実現等に関わらず、恋愛ですら多くの場合は、自分との戦いであるということを知った。また、第3者ではなく、相手と自分の1:1の関係性の中で、問題が発生したり、愛情の育成を左右する要因が潜んでいることを学んだ。

 

誰かとどんなに近くに居ようと、長い時間を過ごそうと、その人の性質やスキルは取り込めないが、相手を自分の心の中に住ませることによって、それは可能になる。要は、○○だったらこの時なんと言うか、この場合どうするか?と、その人になりきって自問自答することを繰り返すことによって、そのDNAを取り込めるようになるのだ。

 

好きの関心は、無関心ということを痛いほど思い知った。

伝統的な男女の役割を果たす醍醐味を知り、家事や料理に凝るようになった。

 

 

3.知恵への投資

下田美咲さんが発売する美肌Noteを購入し実践したところ、恐らく物心がついてから一番肌トラブルが減少した。今まで何軒もはしごした皮膚科、数十万投下したエステ代はなんだったんだろうと、知恵へ投資する大切さとともに戦略性を見誤る手痛さを知った。

 

管理職レシピもなかなか秀逸で、自炊の習慣がついた上に、体調/眠気の改善がびっくりするくらい進んだ。

 

何かに挑戦して成果が出なければ、「努力しているから」と言い訳をして状況が好転するのをだらだらと待つのではなく、素早く戦略性の妥当性を確認する必要がある。

 

同時に、目標出しと、細やかな記憶、定期的な効果測定も必要不可欠だ。

 

2017年は、これらを意識して、どんどん夢を仕込み、叶えていく1年としたい。

 

恐怖を取り除くのはポジティブシンキングではなくて、ロジカルシンキング?否、やっぱりポジティブシンキング。

大好きなキングコング西野さんが、興味深いインタビューをアップしている。

 

shigotonadeshiko.jp

 

特に、下記一文には非常に共感した。

 

僕は、恐怖を取り除くのはポジティブシンキングではなくて、ロジカルシンキングだと思っています。『こうで、こうで、こうなるから、大丈夫』ということを具体的に理論立てて説明し、納得さえできれば、人はポジティブになれる。ほら、初めての海外旅行は不安だらけですが、何度か経験して、その対処法がわかっていれば不安は消えるじゃないですか? あの感じです」 

 

かのいう私も非常に不安がりで、怖がりだ。

 

「未来は大胆だね、チャレンジャーだね」と評価してくれる友人もいるけれども、とんでもない。

 

私は自分ほど保守的で安定志向の人間は珍しいのではないかと思う。

 

物心がつく頃から、私は絶対に訪れてほしくない未来に関しては、冷静に分析した上で、ありとあらゆる手段を講じて回避する布陣を敷いた。更に、事前の仕込みだけでは飽き足らず、やむを得ず起こりうる最悪なケースを数パターンを想定し、そうなってしまった際の手当も併せて準備するのが常である。

 

14歳、高校受験の時。

「滑り止め、どこにする?」と相談しあう友人を横目に、私は念には念をと、私立公立県外県内含め計8校受験した。(内7校合格)

 

21歳、就職活動の時。

「大手いけるかな…。。><」と、不安を語り合う同級生の横で、私は生活保護を含む社会保障憲法の「基本的人権の保障」について学んでいた。当時の愛読書はBIG ISSUE。「何故皆、当たり前に就職できて一生働き続けられると思うほど楽観的なのだろう…」と不思議に思いながら、最悪職が見つからなくて一時的に路上に迷うことになったとしても、何とか生き延びれる策を真剣に模索していたのである。

 

昔から海外旅行が大好きで、アフリカ大陸を含む20か国以上旅行してきたのだが、旅立つ前には必ず有事に備えて、現地の中国大使館と日本大使館(中国大使館があてにならないリスクを考慮し)の連絡先を控える。更に、急死事故死するリスクに備えて、パソコンのハードディスクの整理は絶対に欠かさない。

 

最近は、「私たち、30になってもお互い独身だったら、結婚しよっか!」としたたかに異性の知人友人に布石を打つアラサーの友人を横目に、「生涯孤独で一生を過ごすことになりそうだったら、老後は一緒に暮らそう。」と親友に打診をしたばかりである。

 

ここまで書いて、自分でも病的なのではないかと疑う。

それくらい、私は本当に、本当に、怖がりである。

 

 

以前、定期的にデートしていた異性との関係に陰りが見え、

「もしかしたら、このまま一緒にクリスマスを迎えることはないのかもしれない…」

という心配が頭をよぎった。

 

時は銀杏がきれいな10月頃であったと記憶している。

 

一年で一番大好きなイベントであるクリスマスを、どうしても、大好きな彼と一緒に過ごしたい。

 

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だけど未来の保証はできないし、どうあがいだって、

私一人では離れていく人の心を繋ぎとめることも出来ないし、冷めていく愛情を温めなおすことも出来ない。

 

私は、悩んだ。

 

そして、ロジカル的に分析した。

 

結論、「クリスマスの思い出をつくる」という目標のみにフォーカスすれば、なんとか自分一人でもコントロール可能だという結論に達し、私は既成事実の作成に奮闘した。

 

結果、なんと1か月半以上も前倒しで、なんの脈略もなく

 

「メリークリスマス!!!!」

 

早すぎる季節外れのクリスマスプレゼントとカードを差し出し、

 

「(もし、関係が続いたら)あと2回くらい一緒にクリスマス祝おうね♡♡」

 

との言葉を添えた。

 

 

このように、西野さんに言うように、ロジカルシンキングを重ねて事前にリスクを認識すれば、最悪なケースは避けられるし、最低限押さえておきたいポイントは確保できる可能性がぐんと高まるだろう。

 

これが安心に繋がるのだと言えばその通りだけれども、ここには一つ、大きな落とし穴がある。

 

それは、リスクを認識することは、ネガティブな結果に意識を集中するとほぼイコールであるため、ついつい恒常的に物事を悲観的にとらえる癖がついてしまうということだ。

 

そして、現実は思考に引っ張られる。

 

深層心理で失敗するんじゃないかと思えば、失敗する可能性が高まるし、恋が終わるんじゃないかとばかり考えていたら、不思議なことに、本当に終わってしまうケースが多くなる。

 

しっかり計算された事業計画は、最悪なPassimic Caseを回避する力を備えると同時に、Optimic Caseに上方修正する可能性も奪ってしまうのだ。

 

先ほどの彼も、想定通りにクリスマス前に振られてしまい、2度目のお祝いをする予定だったクリスマスの本番には、涙をのんだ若き日の思い出だけが残った。笑

 

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どんなに悪い結果を想定していたとしても、心の手当の準備をしていたとしても、その通りになってしまうと、やっぱりとても辛いし、とても悲しい。前倒しにお祝いしたクリスマスの思い出は、失恋の痛みまで拭ってはくれない。

 

だから、ロジカルシンキングで、賢く準備して立ち振る舞うことも悪くないけれども、

 

「きっとうまくいく。」

「わたしはきっと、大丈夫」

 

そんな風に、根拠もなく、無邪気に自分を信じる力を持つこと。

 

ほしい未来を手に入れる、最強の武器はポジティブな心にあるのだと、最近は思い直した次第である。