未来日記

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いつも鬱々としていた丸の内OLの日誌。人生をポジティブに変えていくのは、自分の行動次第。

撮影女子会に見るビジネス戦略

撮影女子会というサービスをご存じだろうか。

satsueijoshikai.com


レストランや居酒屋でダベるという元来の女子会スタイル一石を投じた提案であり、女の子達皆でプロによるメイクアップ&撮影をして記念に残そうというサービスである。

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このビジネスの発起人の中村朝紗子さんは現在若干25歳であり、私が当サービスを発見した時は、同世代の女の子がこんな素敵なビジネスを始めたとは、と心が震えたことを鮮明に覚えている。そしてなんと、昨日、Haru Haruちゃんに誘われた屋形船で偶然、中村さんに直接お会いすることが出来た。非常に聡明で美人な素敵な女性であり、彼女と直接お目に書かれたことは、今月に入って一番の幸運であった。


設立当初からこのサービスに注目していたこともあり、これを機会に僭越ながら、当サービスへの感想と提案を記したいと思う。
  
① 市場分析
一般人向けの撮影市場(写真館)等は、日本は対中国(Main Land)、台湾比、非常に小さい。私は中国出身であるが、向こうでは町中に写真館が溢れており、プロによるメイクアップ及び撮影サービスがごくごく庶民の日常に浸透している。日本では、七五三や成人式、結婚前等非常に限られた機会でしか利用しないイメージがあるが、向こうでは、誕生日や転職、カップルのアニバーサリー、学生であれば試験終了記念等、節目に撮影を行うという部分では一致していても、敷居は非常に低く、皆非常に気軽に、2回、3回と利用をしている。(写真館によっては頻繁なリピーター客を前提にサービスを設計し、ポイントカードを発行しているところも多々ある)
  
当サービスがなかなかスケールしない日本市場との違いは、以下の3点に集約される。
  
A. 文化的要因
撮影された自分のキメ写真を大きなポスターにして自宅に飾る、スマホの壁紙やSNSのトップ画像に設置することが向こうでは当たり前、日本ではそのような習慣がない。
    
B. ターゲット顧客層の違い
向こうの写真館の1番のメインターゲットは、結婚式前のカップルと、20~30代女性の1人客である。この女性一人客利用の敷居が低いことは大きなポイントである。彼女たちが、個人としてまず当サービスを体験し、満足することによってインフルエンサーとなって、友人たちや家族、恋人との2次利用を促すのである。撮影女子会をはじめとする、日本の写真館では、このような1人女性客を全くターゲットに織り込んでいない。
    
C. 価格帯
向こうでは、市場規模が大きいこともあり、業界全体の価格を押し下げている。例えば、1棟の立派な写真館だけでなく、マンションの1室3LDKで撮影部屋、メイク部屋、衣裳部屋と区切って運営している小規模の写真屋さんもあり、そういうところは地代賃料を抑えていることもあり、料金が安く敷居が低い。

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② ひと顧客視点から見た、当サービスの現時点での利用ハードル 
 先週、たまたま仲の良い友人の誕生日会があり、仲良し4人組でサプライズパーティをしたいという話になった。そこで、私は、丁度皆にこの撮影女子会を提案した。以前、私は中国でこのような写真館での撮影を体験したことがあり、プロによってメイクアップされた後に綺麗に写真に残してもらう高揚感、それによる自己肯定感の醸成を体験している。よって、それを友人に提案したのだが、時間的制約と値段設定により、残念ながら実現には至らなかった。
 その友人たちは、20代後半で実家暮らしの大企業勤めという、統計上最も可処分所得が高い独身女性層であり、その彼女たちが高いというのであれば、やはり高いのではないかというのが、私の正直の感想である。正確に言えば、値段に対する商品の魅力をまだ見込み客に伝えきれていないのではないかと、思う。
  
③ 提案
A. 女性一人客の心を掴むような利用プランを。
②でも触れたとおり、このような撮影サービスは、利用して初めて価値をわかる部分が大きい。実際に、HPの綺麗なモデルさんを見ても、自分がどこまで綺麗に撮ってもらえるのか?実際に撮影されるというのはどのようなものか?本当に楽しいのか?恥ずかしくて苦痛ではないのか?これらは、全て実際に体験してみないとわからない。First Experienceから複数女性をメインターゲットにしてしまうと、実行に至る迄に、提案者の一人の女の子のみならず、メンバー全員のコンセンサスを取らなければいけない。自分自身も購入経験がない、2万円前後の商品を友達に一緒に買うように説得することは、なかなか難しい。
  
B.「利用する人」ではなく、「お金を払う人」にフォーカスしたマーケティング戦略を。
本サービスのHPを見て、私が第1印象は「若い…」であった。笑
パステルカラーのミニドレス、花の王冠やティアラ、ケーキなどの小道具。可愛い。確かに可愛い。けど、全体的に、なんか若い。笑
27歳、アラサーの自分がこれに似合うのかというと、一瞬のためらいが頭をよぎる。HPで掲載されている女性たちは恐らく皆20代前半のように思えるが、1回2万円前後の当サービスを彼女たちが支払えるのか。もし、親や彼氏が支払う場合が多いならば、彼らに訴えるようなマーケティングを行うべきなのではないか。(例えば、下着のトリンプの通販システムでは、決済画面で「おねだりする」というボタンがあり、決済者を注文者と別にする仕掛けがある。)もしくは、利用者自身が支払いを行うという設計であれば、ターゲット層の年代をもう少し引き上げるべきなのではないか。
  
C.最終商品の用途の提案の充実
本サービスは、撮影体験にフォーカスされて、最終商品の提案が少し弱いように感じる。
最終商品である撮影した写真を実際にどう使うのか?という点は、サービスを利用するか否か決断をする際の大きなポイントになる。皆で撮った可愛い写真をデータのみ貰える、使用用途はSNSで掲載するのみ、というであれば、近年台頭してきているSNOWやSnapchatといったスマホアプリと競合することとなる。それらと差別化を図り、明確な価値を打ち出すためには、最終商品の使用例や魅力を可視化する提案力が肝となる。
 
例えば、中国の写真館では、キーホルダーや置物、ポスターなどのグッツにして渡してくれる。日本では、それらを飾る文化がない点を鑑みると、そこまでやらなくとも、例えばアルバムにして渡す、お見合い写真に使えるようにする等、何でもよいが、何か付加価値を付けて、「体験だけでなく最終商品にも確りと価値がある」といった提案をすることが必要不可欠だ。なぜならば、高価格帯の体験型商品の購入者にとっての自分への言い訳となるからだ。(例えば、エステ、高いけれども気持ちいいだけではなく実際にリフトアップして綺麗になっているから良いよね!といった心境と近い)
  
以上、ダラダラと長く書き綴ったが、私は本サービスをとても応援しており、いつかは使ってみたいと長い間考えていた。
  
女の子は、自分のことをかわいいと思えた分可愛くなれるし、周りの人から可愛がられた分だけ自分を肯定できるようになる。自分を肯定する力は、チャレンジする勇気となり、人生を切り開く鍵となる。
  
このような素敵なサービスをこれからも、ずっと応援していきたいと思います。
 

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