広告活動とは、商品に命を吹き込む行為である
今朝、美容院後に表参道を歩いていたら、たまたまlouis vuittonが店頭でショーを行っていた。
ハイブランドのランウェイを肉眼で見ることは初めてだった。
目を見張るモデルさんの華奢さに、
非日常なワクワク感がたくさん詰まった衣装に、
思わず足が立ちどまった。
「あぁ、本当に、美しい…」
【Louis Vuittonは年間幾らくらいの広告費を捻出しているのか】
ハイブランドであればあるほど、華やかなプロモーション活動を通して、ブランドイメージを維持していくことは必要不可欠であろう。
では、たとえ目の前に1つの100万円のLVのカバンがあるとすると、その内いくらがこのような広告宣伝費にあてられているのだろうか?
ふと、そんなことが気になり、わたしは帰り道の銀座線で、そっと同社の2016年度のアニュアルレポートを開いた。
↑表紙。
決算資料のくせに、いちいち美しい。
さすが世界のLVMH。
さて、Amazonのアニュアルレポートでは、冒頭に1997年の株主にあてたレターが添えられており、利益率よりも長期的なキャッシュフローの最大化を一番の目的とするゾベス氏の理念が記されている。
When forced to choose between optimizing the appearance of our GAAP accounting and maximizing
the present value of future cash flows, we’ll take the cash flows.
(もし、決算結果とフリーキャッシュフローの最大化、どちらかの選択を迫られたとき、我々キャッシュフローを取るだろう)
では、LVMHの理念 とは何だろう。
もしや、キャッシュフローならぬ、広告宣伝費の最大化だろうか。
わたしは、わくわくしながら、ページをめくった。
……。
……!?
なんということだ。
めくっても、めくっても、数字が出てこない。
忘れないでいただきたい。これは顧客向けパンフレットではない。
一応、投資家向けのアニュアルレポートである。オシャレすぎワロタ。
そして、金融業界の先輩よりご指摘があり、アニュアルレポートではなく、Financial Statementに記載があることを発見!!
↑ 2016 Consolidated financial statement LVMH
直近の売上が37,600 million EURであるのに対し、広告宣伝費(Advertising and promotion expenses)が4,242 million EURになっていますね。よって、非常にざっっっっっっくり言えば、売上対比11%程度。
つまり、100万円のバックを買ったら、11万円がモデルさんへのお給料や雑誌の掲載や広告の作成に使われていると。
意外と思ったよりも少ないと思ったのはわたしだけだろうか。
【広告とは何か】
キングコング西野さんが「ニュースにしてもらうより、ニュースを作る側に回れ」、「国民総クリエイターの時代。面白いコンテンツがあったら、皆が写真を撮ってインスタで勝手に宣伝してくれる」と言った意図の発言をされていたり。
電通の労務問題などもあり、ようは「広告なんてしゃらくせえ」と、
メディアを通じてマスに一方的に発信するいゆわる伝統的な広告は少しずつ力を失い、段々と格好悪くなってきたというのが最近の風潮ではないだろうか。
中には、「ネット社会では、良い商品は口コミで広がっていくものだ。広告に頼っている時点で時代遅れ」という声もあるし、コストパフォーマンスが重視される時代では、なるべくコストを削って、安く、良いものを求められる世の中に、今後もどんどん加速するだろう。
【広告とは、商品に命を吹き込むもの】
その中で、ある意味時代と逆行するかのごとく、今でもじゃぶじゃぶに広告宣伝費を投入し続け、且つクールなイメージを打ち出しているハイブランド業界が、わたしはとても好きだ。
例えば、年に1度開かれるVictoria's Secretという下着メーカーのファッションショーは、全世界の10代20代の女の子たちの憧れの的といっても過言じゃない。
わたしも例にもれず、通称Angelと呼ばれるこのショーモデルに憧れて、「今年はどんな演出がるのだろう?」と、毎年9月の開催を指折り待ちわびていた。
そしてショーの後は、少し奮発した買ったVictoria's Secretの下着を身に着けただけで、モデルさんたちと一緒に舞台に立ったような不思議な高揚感を味わえたものだった。
また、同じように好きなブランドがティファニー。
正直値段はとても高く、デザインもシンプルでコストパの概念から最も遠いブランドである一方、
彼らが打ち出しているイメージ広告が毎度毎度、あまりにも心温まる素敵な内容であるため、ついつい目が離せなくなる。
そして、ときたまティファニーのシンボルである青い箱をプレゼントとして受け取った暁には、
自分も、物語のヒロインのような、そんな夢見心地なくらい幸せな気持ちになれるのだった。
ただの下着なのに。
ただの指輪なのに。
ただのカバンなのに。
それなのに、手に入れた時は普段よりずっと感情が高ぶって、身に着けた瞬間は最高にうれしくて、いつまでも眺めていたいと、肌身離さずお守りのように持ち歩きたいと。
ひとつのモノに、そんな愛情を、物語を、命を吹き込んでくれる。
それが広告の使命でなんじゃないかな。
綺麗なモデルさんを見て、なんだか悔しくて唇をかみしめた思い出も、新しい夢を抱く原動力へと繋がっていく。
だから、11%と言わず、LVMHグループには今後もじゃぶじゃぶ広告宣伝費をつぎ込んでほしいものである。
↑美しいモデルさんと反して、醜い嫉妬に駆られたアカウントがこちらとなります。